ピーカーブーシナリオ「晴天のカーテン」
シナリオ作者:福良ベッケ
システム:ご近所メルヒェンRPGピーカーブー
PL人数:2人
備考:スプーキーに「X族」がいると遊びやすいと思います
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目次
シナリオの概要
ある日、はるかかなたの宇宙から小さな隕石が飛来し、イノセントの町のお山に墜落します。その隕石の中にはなんと、謎の宇宙人「グレオ」が住みついていたのです。
大きな宇宙をあてもなくさまよい、目が覚めたらとつぜん知らない世界に来てしまったグレオは、この世界のどこかに仲間がいると信じ、SOSのオーロラで町の空を覆ってしまいます。
真昼間に現れ、いつまでも消える気配のないオーロラ。この美しくも不可解な現象をつきとめなければ、ゆくゆくはオバケ狩りの介入が始まってしまいます。イノセントとスプーキーはこの怪奇現象をさぐり、グレオの所にたどりついてオーロラを消してもらわなければなりません。
PL向けトレーラー
真昼の青空に突如オーロラが出現した!
赤、黄色、緑…鮮やかに色を変えるオーロラ。こんな景色は見たことがない。
クラスのみんなは喜んでいるけれど、イノセントとスプーキーは違和感を覚える。
もしかしたらオバケの仕業かもしれない。
怪奇現象を放っておくとオバケ狩りが動き出してしまうかも…!
オーロラを出している犯人を見つけ出し、この美しき怪異を解決しよう!
取り扱い
このシナリオはゲーム時間でいうと1日でクリアすることができます。難しい処理は少なく、遊び慣れていないGMやPLでも問題なく遊べると思います。
ルールブックに掲載されているフェイズと別に、導入フェイズ、固定イベントx2、侵入イベントがあります。所々で判定が起きるので、その際の指定特技を記載していますが、これは参考になればと思って書いていますので、別の特技を指定しても構いません。PLが面白いアイデアを提案した場合は積極的に取り入れてみてください。
物語やエネミーなど、改変は自由です。楽しむことを大前提に、このシナリオを遊んでいただければと思います。
動画や小説などのリプレイ作品にも遠慮なくご利用ください。報告は任意です。
- シナリオ制作者の名前
- シナリオが記載されているサイトのリンク
- シナリオを販売しているサイトのリンク
を作品内のどこかに記載していただけると助かります。
エネミー
名前:グレオ
レベル:1
リング:X族
弱点:≪パソコン/遊び2≫≪秘密基地/友達12≫
魔法:びりびり(ルールブックP240)、秘密の手(P247)
能力:お邪魔2、魔力12
説明:いたずら好きな子供の宇宙人です。根は良い子ですが聞かん坊なところもあります。初めての世界に動揺して襲い掛かってきますが、なにげない文明的なもので容易に驚かすことができます。
導入フェイズ
物語は真夜中のシーンからはじまります。イノセントもスプーキーも眠る丑三つ時、近所の山で大きな衝突音がして目が覚めます。スプーキーは山へ確認しに行くことができます。イノセントも行けないことはないですが、親に見つからないよう《隠れる/不良9》判定をしたり、眠気を1d6増加させたりという処理が発生するので、そのまま眠っていても問題ありません。
近所のお山はじりじりと火があがり、周辺の人間とオバケがふもとに集まって騒いでいます。長老オバケはスプーキーに気が付くと近づいてきて、隕石が落ちて来たと伝えてくれます。数匹のオバケとともに火を消しながら隕石のところへ行くと、それはそれは美しい銀色の隕石を見つけます。人間が両手で抱えるほどの大きさで、星空を反射してきらきらと光っています。
オバケたちがその隕石に何かする前に、人間の消防隊が駆けつけてきます。隕石は結局、人間たちに回収されることになります。山の火は無事に鎮まり、とりあえずはオバケも人々も安心して夜を過ごせそうです。
導入フェイズの締めに、長老がスプーキーに話しかけます。長老のリングと話す内容表を作っています。設定が決まっていない場合はぜひ使ってみてください。
長老のリングとロールプレイ決定表
1 | シッポ族。「隕石ってのは嗅いだこともないにおいがするんだな。まるで生きているようだ」 |
2 | トンガリ族。「とりあえず、騒動も無事治まりそうでほっとしたよ。」 |
3 | X族。「この隕石、何か怪しいな。何事も無ければよいが…」 |
4 | ヨル族。「静かな夜が戻ってよかった。平和がいちばんだ」 |
5 | オモチャ族。「人やオバケがたくさん集まってきて楽しかったね。気を付けて帰ってね、スプーキー」 |
6 | シキ族。「たまにはこういう騒ぎも刺激的でいいものだ!」 |
学校フェイズ
基本ルールブック(P258)に従って処理してください。
情報共有のために登校シーンなどをはさむのもいいかもしれません。
学校フェイズが終わると、固定イベントが発生します。
固定イベント:オーロラ出現!
お昼休みが終わる頃のこと…ふと窓の向こうに目をやると、真っ青な空に今まで見たことも無い光景が広がっていました。
赤、緑、黄色と、鮮やかに色合いを変える空の帳、オーロラが広がっていたのです。
たちまち子供たちは興奮して窓に集まってきます。その中の一人の子が、この国のこんな青空にオーロラが出るなんておかしいと言います。オーロラは北極と南極に出現するもので、日本にはそうそう出来るものではないようです。とはいえ、子供たちの大半は怪しむこともなく、珍しいものを見られたと喜んでいます。
スプーキーはこのオーロラに違和感を覚えます。自然の産物ではなく、何者かが意図して作ったものに見えて仕方がないのです。
スプーキーはここで《オバケ判定》が行えます。難易度は、X族ならば目標値7、それ以外であれば目標値9になります。成功すると、宇宙のオバケが作りだした「助けて!」という一種のメッセージであることがわかります。失敗しても、オバケが作りだしたものだと気づくことができます。
また、このオーロラを放っておくとオバケ狩りが介入しはじめる可能性があります。イノセントにそのことを説明して、一緒に調査にでかけましょう。
放課後フェイズ
GMは以下の2項目を「調査」できることをPLに伝えてください。
2つのうち、シナリオを進めるために必要な情報は1つです。
- 今、隕石はどこに?
《うわさ話/友達3》でクラスメイトや先生、知り合いなどから隕石が今どこにあるかを調べることができます。うわさによると、隕石が落ちた山のふもとの小さな科学研究所に保管されているらしく、後日、都会の大きな研究施設に運ばれる予定になっていることがわかります。
この情報を手に入れたら、次の人の手番から科学研究所へ行くことができるようになります。研究所へ行くと固定イベントが発生することをGMは伝えておくといいかもしれません。
- オーロラってなに?
シナリオ進行に重要ではない情報です。《宇宙/勉強3》で、勉強好きの友達にオーロラについて教えてもらえます。
──オーロラは、太陽の風のかけらだよ。地球は大気や磁場で大きなバリアを作っていて、太陽風はそれを避けるように地球を通り過ぎていく。でも、一部はバリアの隙間から吸い寄せられ、北極や南極に降り注ぐ。それが美しいオーロラとして僕らの世界に届くんだよ。
この話を聞いたキャラクターは経験点を1点獲得します。
固定イベント:宇宙人だ!
このイベントは科学研究所へ移動すると発生します。
研究所の入り口には警備員がいて、施設の関係者でないあなたたちを中へ通してくれません。半ば追い払われる形で研究所を離れようとした時、その建物の屋上に不気味な影が立っているのが見えました。
それは人型にも思えましたが、明らかに人間ではない何かであると察します。それは胸から光の玉を作り出し、大空へ解き放ちます。その光は瞬く間に広がり、例のオーロラへと変貌しました。
不気味な存在の奇行を目撃したイノセントは《恐怖判定》を行います(P269)。失敗した場合、真夜中フェイズの1サイクルめは行動不能となります。
オバケはこちらを見下ろし、イノセントとスプーキーの存在に気づきます。すると、緑色に輝いていたオーロラは一瞬で真っ赤に染まります。
望むなら、スプーキーは、ふたたびオーロラに《オバケ判定》が行えます。成功すると、オーロラが恐怖や警戒のメッセージを含んでいると理解できます。判定に失敗するとオバケから電気の球を投げつけられ、魔力が-2されます。どちらにせよ、オバケはこちらに好意を抱いていないことがわかります。
オバケはその後、オーロラを残したまま研究所の窓から中へ入っていきます。イベントはこれで終了です。
GMは、真夜中フェイズで研究所に侵入できることを伝えてください。研究所に到着すると「侵入フェイズ」が始まります。
真夜中フェイズ
イノセントは眠ることもできますが、次の日以降の侵入フェイズ前にオバケ狩り「メン・イン・ブラック(P295)」と遭遇し、戦闘することになります。できるだけこの日のうちに侵入することをおすすめします。親の目をくぐり抜け、研究所へ移動しましょう。
侵入イベント
研究所の真上には相変わらずオーロラが輝いています。建物とその周辺にはオーロラの魔力が降り注いでおり、侵入フェイズのスプーキーは魔力を消費せずに判定が行えます。
まず、研究所の中に入る必要があります。魔法やピッキングなどで入れますが、PLが特に思いつかなければ次ページの表を使うこともできます。
科学研究所侵入表(1d6)
1 | すりぬけの魔法を持ったオバケに協力してもらおう。スプーキーが難易度5の《オバケ判定》に判定に成功すれば、すりぬけオバケの手を借りて侵入できる。 |
2 | 裏口の扉でピッキングに挑戦してみよう。誰かが《ぬすむ/不良10》または《工作/勉強5》の判定に成功すれば扉が開く。 |
3 | 窓から覗くと、コバケたちが研究所の中で遊んでいる。声をかけてお願いすれば中から鍵を開けてくれる。遊びにも付き合ってあげたので、イノセントは眠気が1増加する。 |
4 | 偶然にもオーロラの欠片が落ちてきて、一瞬だけスプーキーに大きなパワーが宿る!この力で扉をこじ開けてしまおう。 |
5 | 偶然にも魔女が通りかかる。魔女はおこづかい1点か、魔力2、またはアイテム1つと引き換えに裏口の鍵を開けてくれる。 |
6 | 裏口の扉をガチャガチャしてみたら普通に開いた!セキュリティどうなってるんだ…? |
侵入が完了すると、次は放課後に遭遇したオバケがいる場所を目指します。
研究所の中では緑や黄色、桃色などの美しい光の粒が漂っていて、オバケ屋敷に取り込まれかけているのがわかります。その影響を受けて監視カメラは故障し、警備員が廊下で倒れています。
警備員は起こすことができます。オバケたちを見て錯乱しますが、宥めてあげれば冷静を取り戻し、こちらに協力してくれます。イノセントにアイテム「懐中電灯(P228)」を渡し、仲間表(P298)で仲間にすることができます。
オバケが逃げ込んだと思われる部屋は、扉の隙間からオーロラのような光が漏れているのですぐに見つけることができます。
グレオとの遭遇
部屋には鉱石がずらりとガラスケースに入れられて保管されています。その中に昨晩の隕石もあり、イノセントたちはすぐに見つけることができます。
しかし、隕石に近づかせまいと、宇宙からのオバケが立ちはだかります。
「近づくな!この星は一体どこなんだ?グレオの仲間はどこにいるの!?」
オバケは興奮し、怯えていて、イノセントたちの話をまともに聞こうとしません。オーロラは自分の仲間を呼ぶためのメッセージだと言って一向に消そうとしません。イノセントたちと和解するつもりもなく、隕石にオバケ屋敷の扉を開けて逃げ込んでしまいます。
グレオに話を聞いてもらうには、彼の魔力を削って混乱を鎮めるしかなさそうです。
オバケ屋敷フェイズ
部屋数はPLの数と同じ、またはPLの数+1にしてください。
広大な宇宙が広がるオバケ屋敷です。イノセントたちは小さな惑星に立っています。イベントをクリアするたびにワームホールが出現し、次の小惑星へ移動できます。グレオを追ってイベントをクリアしていきましょう。
シナリオ専用の表を作っていますので、よかったら使ってみてください。
宇宙的オバケ屋敷イベント表(2d6)
2 | 目の前にワームホールがいくつもある。本物はどれだろう?誰かが《宇宙/勉強2》または《推理/大人6》に成功すればイベントクリア。 |
3 | 石の雨が降り注ぐ!当たったら怪我をしてしまう。全員《かけっこ/運動7》または《計算/勉強6》の判定をする。オバケは「防御」が1以上あれば判定しなくてもよい。失敗したキャラクターは元気-1/魔力-2。成功失敗にかかわらずイベントはクリアできる。 |
4 | 砂だけの何もない星だ。望むなら、誰かひとりだけ自由行動を1回できる。 |
5 | 宇宙海賊の船が近づいてきて、こちらを狙っている!誰か1人《おしゃべり/友達7》に挑戦できる。失敗したら誰かのアイテムを1つ、またはスプーキーの魔力を1d6点持っていかれる。成功失敗にかかわらずイベントはクリアできる。 |
6 | 火山だらけの星だ!熱くてしょうがない!イノセントは全員《がまん/友達5》または《無視/不良4》で判定する。失敗すると眠気が1d6増加する。成功失敗にかかわらずイベントはクリアできる。 |
7 | 謎の古い遺跡がある星だ。砕けた石の像を組み立てればワームホールが出現する。誰かが《集める/遊び4》または《工作/勉強5》に成功すればイベントクリア。 |
8 | マシュマロが敷き詰められた星。甘くて美味しいが、とても進みにくい。イノセントは全員《泳ぐ/運動1》または《お料理/大人8》の判定をする。失敗すると眠気1d6増加。成功失敗にかかわらずイベントはクリアできる。 |
9 | ワームホールの入り口をドローンのようなものが守っている。誰かが《パソコン/勉強2》または《いたずら/不良7》に成功すれば機械を止めることができ、イベントクリアとなる。 |
10 | 宇宙服を着た魔女に出会う。魔女の店で買い物ができる。買い物するしないにかかわらずイベントはクリアだ。 |
11 | いつのまにかイノセントの手には銃がある。とつぜん正面からたくさんの電気の球が飛んでくる!イノセントは《ゲーム/遊び3》または《道楽/大人12》で判定する。失敗したら眠気1d6増加。成功失敗にかかわらずイベントはクリアできる。イベントが終わると銃は消える。 |
12 | ワームホールの入口に大きな岩がある。誰かが《力持ち/運動12》または《木登り/運動3》に成功すればイベントクリア。 |
イベントをすべてクリアしたら戦闘フェイズになります。
最後の惑星でグレオは待ち構えています。もう逃げ場がないので、戦う気まんまんです。グレオをこらしめて、オーロラを消してもらいましょう。
戦闘フェイズ
P270の戦闘フェイズのルールに従ってください。グレオの魔力を0にすれば戦闘フェイズは終了です。
エネミーのデータ
名前:グレオ
レベル:1
リング:X族
弱点:≪パソコン/遊び2≫≪秘密基地/友達12≫
魔法:びりびり(ルールブックP240)、秘密の手(P247)
能力:お邪魔2、魔力12
結末
戦闘にやぶれたグレオは泣き出してしまいます。慰めてあげると素直に言うことを聞くようになります。
オーロラを消した後、グレオは自分のことを話します。
- 自分はコズミック族のオバケで、生まれた時から隕石の中で宇宙を彷徨っていた。
- この隕石は自分の家で、人間にここまで持って来られて怖かった。
- 仲間がオーロラを見つけて助けに来ないということは、この星に他のコズミック族はいないのかもしれない。
この話を聞いたうえで、イノセントたちが彼をどうするかは自由です。
悪いことをしたオバケとして長老に預けることもできますし、地球から出て行かせることもできます。グレオは二度と悪事を働かないので、この町の一員として迎え入れることもできます。
グレオの処遇が決まったら、あとは家路につくのみです。自由に演出してシナリオを終了してください。
キャラクターの成長はP278に書かれた内容に沿って処理ください。
グレオと和解できた場合は3点ほど追加してもいいかもしれません。
余談ですが、このシナリオは映画ポケモン「裂空の訪問者デオキシス」を参考に作っています。
また、刀剣乱舞の二次創作でこのシナリオを遊んだ仮想卓動画も作っていますので、興味のある方はどうぞ。
他のシナリオも見たい方はこちらにまとめていますのでどうぞ。