システム:ご近所メルヒェンRPGピーカーブー
作者:ベッケ
PL:2~4人
難易度:★☆☆☆☆
時間:およそ3時間(ボイセ)
目次
PL向けトレーラー
ボクは、君宛てに書かれた一通の手紙。
彼女からボクを受け取った時、君は照れくさそうにしていたね。
そんな嬉しそうな顔をして…読むのが楽しみで仕方ないんだ。
さっそく開けてみなよ。
とっても素敵な内容だから。
さあはやく開けて。
ボクを外に出してくれ。
はやく…はやく!はやくはやく!
……ケッケッケ…君はなんて美味しそうな子なんだ。
い た だ き ま す
シナリオ概要
このシナリオはピーカーブーのGMPLともに初心者な方々向けに制作しております。
比較的シンプルなシナリオです。
クラスメイトでありイノセント仲間である「山上洋太」は、「萌木さくら」という子からラブレターを受け取ります。しかし、その手紙にはハグレオバケ「憑かレター」が憑りついており、洋太は生気を吸われてしまいます。さくらはイノセントではないので、洋太が休み始めた理由は知りません。
イノセントは学校を休み続ける洋太を見まいに行き、彼のスプーキーからハグレオバケの仕業だということを聞くことになります。
憑かレターはその後も子供たちの魂を狙い、さまざまな手紙に憑りついて悪事を働き続けます。
イノセントとスプーキーがこの厄介なオバケをこらしめることができればシナリオクリアとなります。
青字はルールが載っているページ数です。ぜひ参考にしてください。
オレンジの字はセリフなど。
取り扱い
このシナリオはゲーム時間でいうと1日でクリアすることができます。難しい処理は少なく、遊び慣れていないGMやPLでも問題なく遊べると思います。
ルールブックに掲載されているフェイズと別に、導入フェイズ、固定イベントx2、侵入イベントがあります。所々で判定が起きるので、その際の指定特技を記載していますが、これは参考になればと思って書いていますので、別の特技を指定しても構いません。PLが面白いアイデアを提案した場合は積極的に取り入れてみてください。
物語やエネミーなど、改変は自由です。楽しむことを大前提に、このシナリオを遊んでいただければと思います。
動画や小説などのリプレイ作品にも遠慮なくご利用ください。報告は任意です。
- シナリオ制作者の名前
- シナリオが記載されているサイトのリンク
- シナリオを販売しているサイトのリンク
を作品内のどこかに記載していただけると助かります。
NPC
山上洋太(やまがみようた)
PCのクラスメイトでイノセントです。スポーツが得意で健康的な男の子ですが、今回は謎の病にかかってしまい、学校を休み続けています。イノセントたちは洋太くんの謎の病気について調査することになります。
てつにい
バットのオバケです。オモチャ族で、洋太くんのスプーキー。一見ただの金属バットですが、その中からは男性の声が聞こえます。洋太くんを弟のように思っており、今回、突然病に伏した彼を助けてほしいとイノセントに依頼します。彼は体がバットそのもので、自分の力で移動できません。
萌木(もえぎ)さくら
洋太に思いを寄せているクラスメイトの女の子。イノセントではありません。洋太に気持ちを伝えたくて、勇気を出してラブレターを書きます。ところがそのラブレターには…
導入フェイズ:山上洋太の欠席
学校の朝の会。先生が出席を取っています。
今日はイノセント仲間の山上洋太くんが体調不良でお休みでした。
スポーツ好きで健康が取り柄の彼が欠席とは、とても珍しいことです。
それを聞いて、少し離れた席に座っている萌木さくらの顔がみるみる青ざめていくのに気づきます。彼女は洋太の席に何度も目をやり、不安そうにため息をついていました。
イノセントは学校フェイズに入る前に彼女と話しても構いません。彼女は最初は「なんでもない」とごまかしますが、ロールプレイをするうちに「私のせいかもしれないの…」と言います。しかし、詳しく聞こうとする前にチャイムがなり、授業がはじまります。
GMは、彼女から情報を得たい場合は放課後フェイズに判定を行えることを伝えるといいでしょう。
学校フェイズ
イノセントは1人1回学校イベント表を振って処理をしてください。P258
スプーキーは、イノセントと共に学校に来ている場合は彼らの手伝いなど。別行動であれば1回だけ自由行動ができます。P263
放課後フェイズ
基本的に2サイクルです。PCたちは自由行動を行えます。P263
GMはシナリオ進行に必要な2つの調査項目を掲示してください。
萌木さくらについて
指定特技:《おしゃべり》《うわさ話》《オバケ判定》のいずれか
成功:萌木さくらから直接お話を聞けます。彼女は以前から洋太に片思いをしていました。先日、勇気を振り絞って彼にラブレターを渡したと話します。萌木さんは、自分の書いた手紙で気分を悪くしたのではないかと不安になっているようです。
萌木さんに手紙の内容について聞くと、顔を真っ赤にしながら教えてくれます。
「シ、シンプルな内容だよ。『ずっと前から好きでした。付き合ってください』」
実際のところ彼女はイノセントではないので、意図してこの事件に関わっている可能性は低いということをPLに伝えておいてください。
失敗:萌木さくらは、自分のせいで洋太が休んでいると言いますが、その理由ははっきり答えてくれません。別の手番で改めて判定してください。その際は+1の補正をかけてもいいでしょう。
山上洋太のお見舞いに行こう
洋太の家にお見舞いに行くことができます。洋太はベッドでぐったりしていて、顔色は悪く、まるで死人のようです。意識は朦朧としていてまともに会話ができません。
彼には「てつにい」という金属バットのスプーキーがいます。洋太の兄のような存在です。彼と話すと情報を提供してくれます。
ところが、洋太の部屋にはいないようです。てつにいを探すには判定が必要です。
指定特技:《オバケ判定(+2の補正)》《隠れる》《空想》のいずれか
成功:洋太の1つ下の弟「栄太」の部屋にいました。栄太は遊びに出かけていたので、部屋に入っててつにいに会うことができます。
失敗:探すのに手間取ってしまいます。イノセントが判定した場合、眠気+1d3。スプーキーが判定した場合は魔力-1d3支払えば、成功の扱いにできます。もしくは、次のサイクルで再挑戦しましょう。
てつにいに会えると、以下のような話ができます。
「洋太は風邪じゃねえ。ハグレオバケに力を吸い取られちまったんだ。昨日、クラスメイトの萌木さんから手紙をもらってな。その手紙を開けるといきなりバケモノに変身して、洋太の生気を食い荒らしやがった。あまりに突然で、俺は何もできなかった…」
「あのバケモノはばらばらに散って逃げていったぜ。もしかしたら、他の手紙に憑りついているんじゃねえかな…」
萌木さくらの手紙について聞かれれば、机の上に綺麗な封筒があることを教えてくれます。
「萌木さんにもらった手紙はこれだ。元の手紙に戻っちゃいるが…洋太のやつ、まだ読めてねえんだよな。彼女、きっと心配してんだろうなあ」
洋太の部屋を出る際、てつにいは自分も役に立ちたいと言ってくれます。GMは、てつにいを仲間にできることを教えてあげてください。P297
てつにいは不思議な力をもつバットですが、自分で動く力がありません。洋太が倒れている今、他の誰かが持ってあげる必要があります。
仲間にした場合、PCのうちの誰が持つか決めてください。そして、P298の仲間効果表を振っててつにいの効果を決めてください。
さらに、てつにいを所持しているPCは常に攻撃ダメージに+1できます。
固定イベント:プリントの怪物
放課後フェイズが終了するとこのイベントが発生します。
イノセントがランドセルの中から今日の連絡プリントを取り出します。
親に渡す前に軽く目を通そうとすると…プリントの文字が突然黒い気を放ち、ねじれ、ゆがみ、まったく違う文章を作り始めます。
『お前を呪ってやる。お前を呪ってやる。お前を呪ってやる・・・・・・』
イノセントはここで恐怖判定を行います。P269
不気味なプリントはそのまま魔法「不幸の手紙」を使用します。P247
イノセントは(恐怖判定に成功していれば)指定特技に従って抵抗することができます。
オバケは予想外の抵抗に驚き、正体を現します。
恐ろしい顔のついた封筒のオバケ「憑かレター」です。口をぱくぱくさせて大声をあげ、窓からすり抜けて逃げていきました。
「くっそ~~!このイノセントも美味そうだったのにな!今回は見逃してやるよ!ケッケッケー!」
真夜中フェイズ
ルールブックに従い、真夜中フェイズの処理を行ってください。P261
イノセントが起きて行動する場合、ハグレオバケの行方を探すこともできます。イノセントが眠った場合は次の日へ進んでください。
ハグレオバケを探す
指定特技:《オバケ判定(補正+1)》または《お手紙》
成功:学校の職員室に先程のオバケの気配を感じます。仲間がそろっているのなら、職員室に侵入することができます。
職員室に入った場合、オバケ屋敷が担任の机の引き出しの中にオバケ屋敷を形成していることに気づきます。オバケ屋敷に入る場合、オバケ屋敷フェイズに移行してください。
失敗:ハグレオバケは上手く身を隠したようで、この日は見つけることができません。次の日に移行します。真夜中に行動したので、眠気を1d6増やすのを忘れずに。
2日目の学校フェイズ
学校イベントをイノセントの人数ぶん行ってください。P258
固定イベント:配布プリントの急襲!
帰りの会…先生が連絡プリントを全員に配布しようとします。
連絡プリントからおぞましい黒い気が放たれていることに、PC全員が気づくでしょう。
配るのを止める場合、《しかる》もしくは《おどす》で判定を行います。プリントの束が「ケッケッケー!」と笑い声をあげながら先生の手を離れ、廊下に飛び出していきます。(先生や生徒は突風が吹いたと勘違いします)
※配るのを止められなかった場合、プリント一枚一枚が生徒全員のもとへ飛びかかり、力を吸い上げて廊下へ飛び出します。戦闘フェイズのエネミーの魔力に+5(PLが2人の場合は+3でもいいかも)してください。
PCたちが廊下を走ってプリントたちを追いかけると、廊下の突き当りでプリントがずらりと輪を作り、オバケ屋敷へ繋がる穴を形成します。
「イノセント!スプーキー!オマエらを貪り喰らってやる!」
イノセントたちはこのままオバケ屋敷に突撃することもできますが、放課後フェイズを利用して準備を整えてからでもかまいません。
オバケ屋敷の入り口は普通の人には見えませんが、放っておけば誰かが誤って吸い込まれてしまう可能性があります。この日のうちに対処すべきだということをPLに伝えておくとよいでしょう。
オバケ屋敷フェイズ
真っ白な床、壁、天井…その隅々に罵倒や悪口、呪いの言葉が書き連ねられています。恐ろしく乱雑な字で、読んでいると気分が悪くなりそうです。
イベントをこなせば奥のドアへとたどり着きます。
オバケ屋敷は、PCの人数ぶん、またはPL人数+1の部屋数です。お化け屋敷イベント表を振って処理をしてください。P268
オバケ屋敷を抜けると
もっとも奥の部屋に待ち構えているのは、ハグレオバケ『憑かレター』。
憑かレターはイノセントたちを見るや、封筒の口を激しく開けたり閉じたりしながら怒鳴り散らし、襲い掛かって来ます。
「ボクの名前は憑かレター!魂を食らう不幸の手紙!人の不幸は蜜の味!オマエらの魂も食いつくしてやる!」
戦闘フェイズ
憑かレターのデータは基本ルールブックのP289を参考にしてください。
※魔力に少し補正があります。「固定イベント:プリントの怪物」で魔法《不幸の手紙》を使用しているので、そのコストを消費しておいてください。また、「固定イベント:配布プリントの急襲!」で回復した場合、そのぶんの魔力を加えてください。
憑かレターは魔力が0になると、無力なコバケになってしまいます。コバケの処分はイノセントたちにお任せします。町の偉いオバケに引き渡すもよし、お説教してさよならするもよしです。
てつにいに任せた場合、長老オバケに引き渡すことになります。
結末
翌日、無事に洋太くんは元気を取り戻して学校にやってきます。そして、萌木さくらに手紙のお礼を述べ、お返事の手紙を書きます。その手紙の内容がどのようなものかは、GMの裁量でかまいません。(PLの想像に委ねるのもいいですね)
お疲れさまでした。
経験点のルールはP278にあります。遊び終わったらPCを強くしてあげましょう♪