【TRPG】ピーカーブーシナリオ【ゆうれいを撮りに行こう】

ピーカーブーシナリオ【ゆうれいを撮りに行こう】

シナリオ作者：福良ベッケ

システム：ご近所メルヒェンRPGピーカーブー

PL人数：2~4人

PL向けトレーラー

幽霊を見たことを友達に証明すべく

クラスメイトの桃木秋広は、カメラ片手に廃墟のある山へ向かう。

もちろん、イノセントを巻き込んで！

山をさまよい、人々を怯えさせる男女の霊。

彼らの目的とは一体…？

シナリオの概要

このシナリオは、クラスメイトの「桃木秋広(ももき・あきひろ)」が、幽霊を見たことを友達に証明するため、心霊写真を撮りに廃墟のある山へ探索に行くという内容です。

イノセントは彼に協力を依頼され、ついていくことになります。

山には男女の幽霊が居て、その幽霊は最初はイノセントたちを追い払おうと悪さをしますが、ただの子供ではないことを知ると、娘の魂を助けてほしいと依頼してきます。

廃墟の正体は「モンスター廃墟」というオバケで、30年前にそこに住んでいた夫婦と娘の命を吸い取って殺してしまっていました。死んでなおも魔力の供給源として閉じ込められている女の子を救うため、モンスター廃墟をやっつけなければなりません。

モンスター廃墟を倒し、女の子とご両親を成仏させてあげればシナリオクリアとなります。

取り扱い

このシナリオはゲーム時間でいうと1日でクリアすることができます。

状況によっては２日になるかもしれませんが、とくに問題ありません。

シナリオ内での判定の指定特技を記載しています。これは参考になればと思って書いています。ＧＭは別の特技を指定しても構いません。ＰＬが面白いアイデアを提案した場合は積極的に取り入れてみてください。

物語やエネミーなど、改変は自由です。楽しむことを大前提に、このシナリオを遊んでいただければと思います。

動画や小説などのリプレイ作品にも遠慮なくご利用ください。報告は任意です。

シナリオ制作者の名前
シナリオが記載されているサイトのリンク
シナリオを販売しているサイトのリンク

を作品内のどこかに記載していただけると助かります。

自作発言、二次配布は禁止します。

NPC

桃木秋広(ももき・あきひろ)

クラスメイト。イノセントではありません。虫取りに小暮山(こぐれやま)を訪れていた時に幽霊を見たというのですが、誰も信じてくれず、悔しさから心霊写真を撮って証明しようとします。

幽霊のことは正直怖いです。

イノセントのことを霊感が強い人と思い込んでいて、協力を依頼してきます。

古藤空(ふるとう・そら)

「モンスター廃墟」に囚われた古藤夫妻の娘。霊魂になってもなお廃墟に魔力を吸われ続けています。コバケと化しており、誰かの助けを待ち続けています。

空のご両親

娘を放っておけず、またこれ以上の被害者を出すのを避けるため、山を訪れた人々を必死に驚かして「モンスター廃墟」から遠ざけようとしています。

イノセントたちも追い払おうとしますが、和解すると空の救出を依頼してきます。

空を救うことができれば、家族みんなで天へ旅立ちます。

エネミーデータ

モンスター廃墟

家に住む人間の魂を吸うおそろしいオバケです。部屋のどこかに心臓があり、それを破壊すればただの廃墟に戻ります。10年ものあいだ空の霊魂を閉じ込め、魔力を提供させ続けています。

【モンスター廃墟のデータ】

レベル：2

弱点：《歴史》《約束》

魔力：17

特殊：《こうもりの群れ》コスト3。屋根裏からこうもりの形をした邪悪な物体を呼び出して襲い掛からせます。全員《かけっこ》もしくは《生き物》の判定をします。失敗した場合、イノセントは元気1d2、スプーキーは魔力1d6減少します。

特殊２：《空の魔力を奪う》魔力が5以下になると、空から魔力を吸い上げて1d6回復しようとします。《仕切る》《がまん》《オバケ判定》いずれかの判定に成功すれば、空を助けることができます。戦闘フェイズで１回だけ使います。

導入フェイズ

学校の授業がはじまる前のシーンです。クラスメイトの桃木秋広(以下、秋広)が、数人の友達と口論になっていました。

秋広は小暮山(こぐれやま)という山で虫取りをしていたところ、幽霊が木陰から現れて秋広に向かって「でていけぇ～～～」と言ってきたそうなのです。

しかし誰も信じてくれず、秋広のことを「びびり」とか「うそつき」と言ってからかっています。彼をからかう子たちは、イノセントも話の輪に加えてきます。イノセントがどのような反応を示してもかまいませんが、秋広はついに「そんなに信じてくれないなら、幽霊の写真を撮ってきてやるよ！」と言い放つのでした。

そして、イノセントが霊感を持っていると信じている秋広は、協力を依頼してきます。

学校フェイズ

イノセントの数だけ学校イベントを行ってください。

放課後フェイズ

シナリオに必要な調査項目が２つあります。GMは最初に項目と指定特技などを掲示してください。

「レッドキャップとの話」を先に調査しないと、「幽霊探し」の調査はできないことも伝えてください。

●レッドキャップとの話

場所：小暮山周辺にあるバー

指定特技：《おしゃべり》《うわさ話》《道楽》《オバケ判定》のいずれか

イノセントはまず、レッドキャップとの関係性を決めましょう。

1～2	友人。レッドキャップもイノセントを気に入っており、平穏に暮らしている。
3～4	初めて会うが、何度か話で聞いたことはあるのでそんなに怖くない。《恐怖判定》免除。
5～6	彼を全く知らない。レッドキャップに会うと《恐怖判定》が発生するだろう。

レッドキャップという元ハグレオバケが幽霊について何か知っているようです。

スプーキーは彼と知り合いで、「ブラッドBAR」というバーに住みついていることを知っています。

ブラッドBARは、前の店主が今の店主に殺されてしまったとひそかに噂されている不気味なバーですが、本当のところは謎です。しかしレッドキャップはそういう場所が大好きなのです。

バーに入ると、店主はイノセントたちを受け入れます。彼女は大人なのでオバケは見えませんが、イノセントがオバケと会話しても一切気に止めません。無表情で静かな彼女と正反対に、居候のレッドキャップはとてもお喋りです。

ここで指定特技の判定を行えば、会話の中で情報を出してくれます。

成功：レッドキャップの情報は以下のものです。

小暮山の廃墟には3人の白骨遺体がある。2人の大人と、1人の子供だ。流血沙汰があったわけじゃないようだが、とにかく、誰にも知られることなくひとつの家族が死に絶えた。数年前、レッドキャップはその廃墟に住みこもうとした。しかしそこの幽霊の攻撃を受け、諦めることにした。あの山と廃墟は幽霊一家のナワバリなのだろう。ちなみに、レッドキャップを襲ったのは2人の男女の霊だった。

失敗：廃墟の話を聞き出そうとするも、彼は自分の過去の悪行話をしはじめます。イノセントは眠気が1d2増加します。次のサイクルでもう一度判定を行えます。その際は+2の補正をかけることができます。

バーを出て行く際、店主が《お菓子》をくれます。目玉にそっくりなグミで、中にいちごジャムが入っています。

●幽霊探し

場所：小暮山

指定特技：《おどす》《仕切る》《勇気》《オバケ判定》のいずれか

秋広と一緒に小暮山に行きます。仲間表を振って秋広を仲間に加えることもできます。

PLが望むなら、山中シーン表を振り、RPを楽しんでください。（P298）

山中シーン表(1d6)

1	木々が生い茂って薄暗く、虫の声が騒がしく感じる…。
2	急に風が突き抜ける。秋広はびっくりして飛び上がる。
3	木の枝を踏み、パキッと大きな音を立てる。それが妙に空気を張り詰めさせる。
4	何かが頭に落ちて来た！確認すると、ただの小さな木の実だった…
5	巨大な蛾が目の前を横切る。虫が苦手なイノセントなら、思わず声を上げてしまう。
6	不気味に歪んだ木々が並ぶ。どこか人の形にも似ていて、ますます気味が悪い。

山をしばらく歩くと固定イベントが発生します。

固定イベント：幽霊だ！

ふと、木陰から声がします。その声は、怒りや悲しみの感情が詰まったおそろしい声です。

「出て行け……」

2人の男女の幽霊が出現します。真っ白な肌で、やせこけ、足は透けています。

秋広には白いもやだけが見え、恐怖に震えています。とても写真どころではありません。

幽霊は立ち去らないイノセントに怒りを覚え、襲い掛かろうとします。

ここで指定特技の判定をします。

成功：男女の幽霊は、勇気あるイノセントの行動に驚かされます。じつをいうと、この2人の幽霊は決してヒトやオバケを傷つける気はないようです。

そして、イノセントが特別な子供だと知ると、態度を一変させ、助けを求めてきます。

山奥にある家に、夫婦はひとり娘「古藤空(ふるとう・そら)」と一緒にひっそりと暮らしていた。しかし、その家は突如怪物となり、3人は閉じ込められ、じっくりと命を吸い取られ、ついに30年前のある日、家族は全員死んでしまった。しかも、娘だけは霊になってなお家の中に囚われ続けている。娘を置いていけないという思いと、これ以上の犠牲を出したくないという思いから、夫婦はこの地に留まり、山に入り込んだものを追い払っていた。

秋広はわけもわからない状態ですが、イノセントに事情を聴くと、恐怖よりも同情や勇気といった気持ちが強くなり、家族を助けるのに協力することを決意します。

夫婦は仲間になってくれるので、仲間表を2回振ってください。（P298）

以降、廃墟へ行くことができるようになります。廃墟に入るとオバケ屋敷フェイズが始まります。準備をしておきましょう。

失敗：怪我はしませんが、怪奇現象を次々に起こされ、ひどい恐怖に襲われます。眠気が1d6上昇し、秋広と一緒にその場を逃げることになります。次のサイクル、もしくは次の日に再度訪れることになるでしょう。その際は判定に+2の補正をつけることができます。

廃墟：オバケ屋敷フェイズ

古びて黒ずんだ木造の廃墟。幽霊夫婦いわく、中に入るたびに空は違う場所に隠されてしまうそうです。そして空を外へ連れ出すには、廃墟の心臓を破壊する必要があります。

廃墟に一歩入ったとたんに幽霊とスプーキーの姿がはっきり見え、秋広は非常に驚きますが、なんとか恐怖を飲み込みます。

オバケ屋敷のイベント数はGMが決めて構いません。2～4がいいと思います。すべてクリアすると屋根裏に行けるようになります。

「廃墟イベント表」を利用してください。

廃墟イベント表(2d6)

2	台所。冷蔵庫や棚の中にいろいろなものが入っていて、ほとんど腐りはてている。誰かが望むなら、ここで《がまん》の判定に挑戦できる。成功すると、棚の中にみかんの缶詰を見つけることができる。これは《お菓子》または《おもちゃ》の効果を持つ。
3	棚の上にあった過敏が浮き上がり、ものすごい勢いで飛んできた！GMは対象をランダムに選ぶ。選ばれたキャラクターは、好きな特技で判定し、回避してよい。回避できなかった場合、元気-1または魔力-1d6。
4	リビング。家族が生きていたころの写真を見つける。近づくと、とつぜん炎をあげ、イノセントに襲い掛かる。スプーキーが防御を１でも持っていれば、守ることができる。持っていない場合、魔力を2消費することで守ることもできる。もしくは、イノセントがアイテムをひとつ失う。
5	風呂場。赤黒い液体が満ちた浴槽に男性の白骨遺体が浮いている。イノセントは全員《恐怖判定》を行う。男性の幽霊が気まずそうに「私の骨だよ」と説明してくれるので、判定に+2の補正をつけることができる。
6	物置。両脇のたんすが急に開き、中から小物や工具などが飛び出してきた！イノセントは全員《かけっこ》または《推理》で判定する。失敗すると落ちて来たガラクタたちに埋もれてしまう。眠気+1d6
7	階段下。綺麗な絵画が飾られている。誰かが望むなら《絵》または《空想》の判定に挑戦できる。成功すると、絵のうしろに女性幽霊のへそくりを見つける。女性幽霊はそのままイノセントにくれる。おこづかいを１個手に入れる。
8	突然床が抜けた！GMはキャラクターをランダムに選ぶ。選ばれたキャラクターは眠気+1d3または魔力-1d3。
9	姿見を通り過ぎると、真っ白な手が出てきて掴みかかってきた！GMはランダムに対象を選ぶ。対象は《力持ち》または《ズル》で判定を行う。失敗するとヒリヒリ痛む真っ赤な手形がついてしまう。イノセントは眠気+1d6、スプーキーなら魔力-1d6。
10	ラジカセから人間の断末魔のようなものが聞こえる…イノセントは全員《恐怖判定》を行う。
11	可愛いお人形が笑顔でこちらに歩いてくる。誰かが《推理》か《いたずら》に成功すれば、その人形がハサミを隠し持っていることに気づき、撃退することができる。そのサイクル内に誰も成功しなかった場合、激しい攻撃を受ける。全員眠気+1d6または魔力-1d6。
12	空のらくがきが落ちている。クレヨンで描かれた、ほほえましい家族の絵だ。これは《オマモリ》の効果があるアイテムとして回収できる。